社会の仕組みが変わっても、
くらしを止めないデジタルで広がる豊かなくらしをサポートします
株式会社ピーシーデポコーポレーション
代表取締役社長執行役員
野島 隆久
PROFILE
1959年神奈川県相模原市生まれ。
1982年野島電気商会(現ノジマ)入社。1994年に独立し、ピーシーマーチャンダイズ(現ピーシーデポコーポレーション)を設立。パソコンが一般家庭に、当たり前の存在になる時代を見越して、PC専門店開始。当時、小売業最速の店頭公開(旧ジャスダック市場)を果たす。時代の変化に合わせご家庭のデジタルを先読みした結果、現在は「全てのお宅にデジタル担当を」をMissionに全国に136拠点(2022年10月末現在、KeyStation含む)を展開中。
ピーシーデポコーポレーション(以下、PCデポ)では、今回初めて「SMARTLIFE
REPORT(ピーシーデポ統合報告書)」を発行しました。ここには、PCデポ会員家族の皆様がデジタルを活用してご家族らしいスタイルで便利に快適なくらしをおくるため、当社がどんな想いでどのように課題を解決していくのかを記しています。会員の皆様にぜひ読んでいただきたいと思うと共に、社員にとっても仕事の指針となる報告書です。
くらしの身近なコトをお宅の当社担当にご相談をしていただきたいと思っています。
2022年新入社員研修での集合写真
「焦らず・無理せず・少しずつ」
ご家族の生活にデジタルを
私が1994年に当社を創業したころ、コンピュータは専門分野での使用から個人の生活に入ろうとしていた時期で、当社は個人の方々に向けコンピュータ関連の物販ビジネスを行っていました。
その後、Windows95の登場やインターネット接続が一般化したことで、コンピュータは急速に家庭に普及していき、「パソコンが動かなくなった、どうしたらいいんだ」というお困りごとも多く発生するようになりました。そこでPCデポでは、2006年から保守サービスを月額会員制で提供するサービスを開始しました。そして現在、世界は猛スピードで進化し、街のあちこちでデジタル化が進むことでお客様のお困りごとも変わりました。また、デジタルを使うことで可能性が広がり、豊かなくらしにつながるという変化もあります。PCデポでは、そんなお客様のくらしをお手伝いしたいと、2018年に「デジタルライフプランナー」という職を定め、お客様に担当制のサブスクリプション型サービスを提供しています。
PCデポでは、創業来インターネットを使う方々の役に立つことをビジネスとしてきました。必要な機器を販売する、壊れたら修理する。今後もその姿勢は変わりません。ただ、これから大切になってくるのは、身近な生活の不便やお困りごとを解消し、くらしを豊かにする、というデジタルの可能性を誰もが享受できることです。職場、学校、公共サービスなど様々な場面でデジタル化が進み、日常生活に浸透しつつある一方「使えていたものが、使えなくなった」、「使いたいのに使えない」「使えることを知らない」といった方々もいて、このことは社会課題の1つとなっています。
PCデポでは、この社会課題の解決をビジネスとして行おうと、いま大きく事業を転換しているところです。私は、稼がない社会課題解決策をやるつもりはありません。それは、どんなに良い解決策でも、稼げなければ続けられないからです。会員の皆様にお金を払っていただくだけの価値を私たちは提供していこうとしています。デジタルライフプランナーは、会員の皆様とデジタルデバイスの間に立って、皆様のくらしを豊かにするプラン、言い換えればくらしに寄り添う知識をしっかりと提供していくことが必要なのだと考えています。
私のこうした考えや目指す方向は、PCデポの5つの価値観として2018年に明文化し社内外の皆様に広くお伝えしました。そして社員がより具体的に行動し、会員の皆様により具体的に理解いただけるよう、2020年に「Vision」「Mission」として改めてお伝えしています。
〈Vision〉
情報社会における格差を解消する
〈Mission〉
全てのお宅にデジタル担当をPCデポでは2021年、全社員が参加する会議において、お客様の定義を新たに「家族」と決めました。現在、ご家族ごとに、数人のデジタルライフプランナーがチームを組んでサービスを提供する体制に移行しています。生活のあらゆる場面でデジタル化が進んでいるいま、「使えない」方、「使えることを知らない」方も含めた皆様にくらしの豊かさを享受いただくため、PCデポでは、いつ頃どのような商品・サービスが必要になるか、ご家族一人ひとりのライフサイクルを踏まえ将来にわたったご提案をしています。一方で、バスに乗った際、小銭を出し入れしているお年寄りを見ると「転ばないかな?」と心配になることがあります。電子マネーを使って「ピッ!」とやれば転ぶ心配がなくなり、日常生活の安心をいますぐ叶えてくれるのもデジタルです。
「デジタル化のスピードに追い付いていけない」と、苦手に思うことも焦る必要もありません。無理せず、少しずつデジタルに移行すれば大丈夫です。
社会のデジタル化によって、ご家族のくらしが止まらないよう私たちがサポートします。会員の皆様が将来にわたって、PCデポの提案する商品・サービスをご家族で利用いただくことで、PCデポは事業を続ける必要な原資を皆様から受け取ることができます。このような仕組みがPCデポにとって“稼ぎながら社会課題解決策”を継続できる唯一の道で、私たちにしかできないことと思っています。
2022年新入社員研修での集合写真
「教養」と「人間力」のある社員を目指します
PCデポが事業を行っていく上で欠かせない存在は、会員の皆様と事業を支える社員です。同時に、会員数をどう伸ばしていくか、人材をどう教育していくかがPCデポのテーマ、課題です。
お客様を目の前の個人ではなく、つながる方がいる家族としているPCデポにとって、現代社会の核家族・単独の世帯増加は自社では解決できないとても悩ましい問題です。けれど離れてくらすご家族がいらっしゃる場合、デジタルでつなぐことができます。私たちは、一人のお客様ではなく、ご家族をお客様として担当させていただきたいと思っています。
2022年4月新入社員入社式
それには、“皆様のデジタルに寄り添う、信頼できる存在”だと会員の皆様に認めていただくことのできる社員の存在が欠かせません。社員が会員の皆様とどう接して、対応していくのかをマニュアル化することはできませんし、「これを勉強しなさい」と言って教育する時代でもありません。
ですから私が社員に常に言い続けていることは「教養を身につけること(明確な答えがない問題・課題を解決してい
く能力を身につけること)」と「人間力をあげること」です。PCデポが提供しようとしている“デジタルの可能性が広げる豊かなくらし”は、お客様の身近なお困りごとの先にあり、なかなかいますぐ必要性を感じていただきにくいものです。だからこそ社員には、くらしを豊かにするプランを提供できる知識とともに、会員の皆様の生活に寄り添う「教養」と「人間力」を持ってほしいと思っています。皆様に認めていただけるには、まだまだ力不足ですが、最近、社員の会話に、売上げがどうだったかよりも会員家族の皆様がどうなのかといった話題が増えているので、良い変化だと思ってみています。
加えて社員には、サザエさんの三河屋さん(酒屋の御用聞き)的に皆様の生活をサポートする役割がでてくるのではと感じています。「いつも使っている銀行の窓口がなくなった」「郵便局が統廃合で遠くなって困った」という会話がお茶の間ででていませんか?デジタル化や人手不足、コロナ禍などにより、社会では交通機関や市町村など、たくさんの窓口が減っています。あまり深刻に認識されていませんが、生活者の視点からすると大問題だと、私は危機感を持っています。「なくなっちゃったんだけど、どうしたらいいの?」を解決するのに必要な情報を調べ、皆様にお伝えすることも私たちにできる社会課題への向き合い方だと思っています。
PCデポでは、現在、新卒を含めZ世代と呼ばれる若手社員と子育て中のママ、パパを積極的に採用し、デジタルライフプランナーとして育成しています。この世代に対しては、会社として何らかの指示を与えることが重要ではなくなっています。ゲームを楽しみ育ってきたこの世代は“ミッションをコンプリートする”ために相手とどう向き合い進むかを自分で考えてきました。「食事の後は、ちゃんとごちそうさまと言いなさい」と指示するより「食事を出した人に感謝が伝わるようにしなさい」といったほうがすんなり理解して行動に移せるのです。我々とは違う価値観を持っていることを理解し、私も管理職たちも、指示ではなくいわば指令を出すように、Z世代の育成に取り組んでいきます。
私のこうした考えや目指す方向は、PCデポの5つの価値観として2018年に明文化し社内外の皆様に広くお伝えしました。そして社員がより具体的に行動し、会員の皆様により具体的に理解いただけるよう、2020年に「Vision」「Mission」として改めてお伝えしています。
会員の皆様の声が、PCデポを導きます
2022年6月、PCデポは経営体制を変え、8名の取締役(男性6名、女性2名)で担っていた経営を5名(女性3名、男性2名)で行うようになりました。私も含めたこれらの取締役は、皆様のようにくらしを肌で感じ、かつ企業経営にも精通している人物として、PCデポの経営を任されています。我々経営陣は、皆様のくらしを広い視点で考えた上で、何をお届けすべきかを迅速に判断します。実際のサービスを提供する社員や担当役員は、専門的な知見のもと、より良いサービスを生み出していきます。さらに言えば、会員の皆様の声がPCデポをより良い企業へと導いてくださると思っています。私の考えや会社の目指す方向、提供すべき商品・サービスは、会員情報誌「SMARTLIFE JOURNAL」などを通じて発信しているので、社員の提案がもしそこから外れていたら、皆様は違和感を持つはずです。会員の皆様が我が家のように集まっていただける場所「横濱Key Station」で、ぜひ皆様同士そうした会話をしていただき、率直な疑問や違和感をぶつけてください。社員にとって大きな気付きとなります。
SMARTLIFE JOURNAL 創刊号
1年後に私が期待しているのは、社員たちが売り上げの話ではなく、「あの会員さんのお宅はどうなっているの?」「今月は、デジタルなくらしのサポートを何件くらい始められた?」「デジタルなくらしを止めちゃった会員さんが今月は少なかった!」という会話が日常になる風景です。さらに経営陣が行う会議においても売上や収支だけでなく、「デジタルなくらしが止まった会員さんが多い店舗があるけれど、これはどうしたことか」といったことを議論するようになれば、必然的に数字もついてくると思っています。
横濱Key Stationでの取引先交流会の模様
物販から始まったPCデポが、同業他社に先駆け会員制サービスを提供する会社へと転換し、現在までに強固な基幹システムを構築して、さまざまなノウハウを蓄積してきました。また事業内容も個人に向けた保守サービスから家族みんなのデジタルライフのサポートへと変化させ、他より一歩進んだ取り組みをしています。私たちが提供する価格帯で、同様のサービスを提供できる企業は、他にはないと自負しています。また、会員の皆様が必要となった時に必要なサービス・商品を追加してご提供できることもPCデポの大きな特長です。これからも、すべてのお宅のデジタル担当として、ご家族皆様のいまのニーズにお応えしつつ、未来の生活を考えた提案をさせていただきます。デジタルによって、これまでのくらしをポケットに入れて持ち歩ける時代がやってきました。この時代を楽しみましょう。